三菱UFJ銀行が「MUFGコイン」と言う仮想通貨を開発しています。
みずほ銀行と郵貯も共同で「Jコイン」と言う仮想通貨を開発しています。
さらにLINEは「LINE Pay」と言う決済方法をリリースしました。

この3つの仮想通貨と決済方法は非常に似た性質を持った仮想通貨です。
(LINEは通貨と言う表現はしていませんが、証券大学では3つとも仮想通貨として分類します)

まずは何が似ているのかから説明していきたいと思います。

 

3通貨の共通点

Jコインについてはほとんど仕様は発表されておらず、MUFGコインも主な仕様しか発表されていませんが、想定される仕様を基に、共通点を見ていきましょう。
3通貨の共通点は以下の通りです。
・1コイン=1円で購入できる。
・買い物などの決済に利用可能
・ユーザ間でコインのやり取りが可能
・スマホ等の画面に表示される2次元バーコードで支払う
このように、基本的な機能は全くと言っていいほど同じです。

恐らく、コインの購入方法(チャージ)も、3通貨とも
・クレジットカード
・銀行入金
・店頭入金
が可能だと思われます。

この3通貨の登場で、これからの決済方法が大きく変わる事になるでしょう。
仮想通貨は、ビットコインが一番知名度がありますが、一番普及する仮想通貨は、この3通貨だと予想しています。

まずは、3通貨が今までの通貨や決済方法と何が違うのかを見ていきましょう。

 

クレジットカードとの違い

現金を介さずに決済する方法は、クレジットカードがありますが、クレジットカードとの大きな違いは
・審査が不要
・個人間で決済が出来る
です。
クレジットカードは、買い物から支払い(引き落とし)までの間、信販会社がお金の立替をするため、一定以上の収入がなければ発行してもらえません。
また、金融事故(未払いなど)を起こした人は、収入があっても審査が通らないケースがありますし、学生・未成年・外国人もクレジットカードを作るのは難しいケースがあります。
また、クレジットカードが使用できるのは提携している店舗のみで、個人間の決済には使えません。

しかし、LINE Pay等の3通貨は収入・年齢・職業など関係なく所有し、使用する事ができます。
使用するには、相当額のチャージが前提になりますが、理由があってクレジットカードが持てない人でも使える決済手段になります。
また、LINE Pay等の3通貨は、個人間の送金が可能になります。
LINE Payの場合は、送金相手もLINE Payを持っている必要がありますが、友達間で送金が手数料無料で出来ます。

 

デビットカードとの違い

クレジットカードと似た決済方法に、デビットカードがあります。
デビットカードとの違いは
・銀行口座を持たなくても良い
・個人間で決済が出来る
デビットカードはカードの利用代金をその場で銀行口座から引き落としてくれるカードなので、クレジットカードと異なり、審査はほとんどありません。
しかし、銀行口座を開設しているのが前提なので、銀行口座を持っていない人は作成する事ができません。
(該当する人は非常に少ないですが。)
また、デビットカードも個人間の決済には対応していません。

 

電子マネーとの違い

次に、電子マネーと比較してみます。
Suica、PASMO、nanaco、WAONなどの電子マネーとは似ていますが若干異なります。
電子マネーとの違いは
・個人間の決済ができる
ここでも個人間の決済が出来る事が大きな違いになります。
電子マネーにチャージしたポイントは、チャージした本人のみ使用可能なので、他者に譲渡する事はできません。
電子マネーの残高は、あくまでもポイントなので、引き出すという事は出来ません。
特例的に電子マネーのカードを返却する際にポイントを払い戻しする事ができる仕組みになっています。

 

ビットコインとの違い

それでは、同じ仮想通貨のビットコインと比較するとどうなるでしょう。
・1コイン=1円で固定されている。
ビットコインとLINE Pay等の3通貨の大きな違いは、日本円と連動させる「ペッグ制」をとっている事です。

これがビットコインと大きく異なるところで、通貨の発行者が価値を保証している仮想通貨になります。

仮想通貨の基本概念は、中央管理されていない通貨ですが、LINE Pay等の3通貨は、LINEやメガバンクが管理する通貨なので、「ペッグ制」をとる事ができるのです。
ペッグ制をとる事で価値が安定するため、安心して長期的な保有が出来るのが大きな強みだと考えます。

 

LINE Pay等の3通貨の将来性

この3通貨の将来性は非常に高いと考えています。
理由は、仮想通貨の利便性を確保しつつ、ペッグ制で価格が安定しているからです。

仮想通貨と言うからには、通貨として日常的に使用できる環境が必要になります。
日常的に使用するには、価格の安定が必要不可欠です。

例えば、日本の基軸通貨は「円」なので、ほとんどの商品の価格は「円」で設定されています。
仮に、米ドルと円のどちらでも買い物が出来る店があった場合、円の価格は安定していますが、米ドルの価格は変動します。
これは、日米の為替レートが日々変動しているからです。

仮想通貨もビットコインのようなグローバル通貨なら為替レートは常に変動します。
日本国内で価格を安定させるには、日本政府が価値を保証するしかありません
(少なくとも現在の経済を前提にかんがえると)
企業が発行する仮想通貨は政府が保証してくれないので、円とペッグする事で仮想通貨の価値を保証しているのです。

今後の仮想通貨は、2種類に分けられると考えています。
・グローバルで使用できる仮想通貨
・日本国内で使用できる仮想通貨

グローバルで使える仮想通貨の代表は、ビットコインです。
日本国内で使える(使いやすい)通貨が、LINE Pay等の3通貨が代表的な通貨になるでしょう。
ビットコインは世界中で使えるようになると予想されますし、国際送金も短時間で手数料も少ないので、海外の企業を相手にした取引や海外旅行に向いている通貨です。
しかし、日本で生活する場合はグローバル通貨の恩恵を受けるケースは少ないです。
今後もしばらくは円を使った決済が主流になると思われます。
しかし、現金決済やクレジット決済では利便性も限界まで来ているので、今までの決済方法を進化させる必要があります。
そこで、クレジットカードや電子マネーの利便性を向上させた新しい決済方法として、LINE Pay等の3通貨が開発されているのです。

今後は色々な企業が、円ペッグの仮想通貨を発行すると思われます。
そして、利便性やサービス競争が起こり、最後は2~3種類の仮想通貨が残ると思われます。