FXのレバレッジ規制10倍は見送りに
先日、管理人コラムで話題にした「FXのレバレッジ規制」ですが、今回は見送りとなったようです。
レバレッジ規制の概要
国内FX業者のレバレッジ規制は、今まで2回にわたり規制が行われてきました。
最初のレバレッジ規制は、2010年8月に50倍に規制され、2011年8月には現在の25倍に規制されています。
このレバレッジ規制は、日本国内で営業するFX業者全てに適用され、レバレッジ25倍以上となる取引は許されていません。
(海外のFX業者は、レバレッジ100倍や500倍と言う業者も多数存在しています)
今回、投資家やFX業者の保護を理由に、レバレッジを10倍に規制すべきかどうかの検討が、金融庁を中心に検討がなされていました。
レバレッジ規制の目的
レバレッジ規制の目的は、投資家とFX業者の保護と言われています。
投資家やFX業者の保護とは、どのような事なのでしょうか。
投資家の保護
レバレッジが高くなると少しの価格変動でも、資産に大きな影響が発生します。
例えば、為替相場が1ドル100円の為替レートが1円マイナス方向に変動した場合、
・レバレッジ100倍の場合、資産を全て失う
・レバレッジ10倍の場合、資産の1割を失う
と言うように、同じ価格変動でもレバレッジ率により資産に対する影響は大きく異なります。
つまり、レバレッジ率が高くなると、少しの価格変動で資産を失う可能性が高くなるわけです。
投資は自己責任と言う考え方で、投資家のリスクを国が規制する事には賛否両論がありますが、「投資家を保護する」と言う目的がありました。
FX業者の保護
今回の検討は、投資家の保護と言うより、FX業者の保護が大きな目的だったのではないかと推測しています。
FX業者の保護とはどのような事かというと、
現在の日本では、FXを行う個人投資家が増えていっています。
FXの取引量も年々増加しており、店頭FX業者の自己ポジションも増えています。
多くの店頭FX業者はカバー先の金融機関と反対売買を行う事で自己ポジションの調整を行っていますが、大きな価格変動が発生した場合、カバー先の金融機関を含めて大きな損失を出す可能性があります。
FX業者が破綻して決済出来なくなると、決済相手の金融機関も損失を被ることになり、金融業界全体に大きなダメージを与える可能性があり、最悪の場合、多くの金融機関が連鎖倒産すると言う事態に発展しかねません。
レバレッジ率を下げれば、FX業者の自己ポジションを減らすことが出来るため、大きな価格変動が発生した場合でも市場に与えるインパクトは小さくなるので、結果的に金融機関全体のリスクも下がると言う理屈です。
くりっく365の利用拡大
レバレッジ規制は、「くりっく365」を使用している「取引所FX業者」には適用されないと言う憶測も流れていました。
FX業者の保護と言う意味では、取引所FXはFX業者は単なる取次会社なので、大きな価格変動が発生した場合でもFX業者が受ける影響は全くありません。
(投資家が、証拠金以上の損失を出し、発生した追証を支払わない場合はFX業者も影響が発生しますが)
レバレッジ規制検討会の結果
2017年から複数回に分けて、レバレッジ規制を検討する有識者会議を行いレバレッジ規制の是非を検討してきました。
・投資家の保護が目的の場合、レバレッジ率を下げる事で効果が上がるが、現在のレバレッジ25倍でも追徴金の請求は極めて稀である事。
・FX業者の保護を目的とする場合、FX業者が行っているストレステストの精緻化と自己資本比率の徹底で対処が可能である事。
で、レバレッジ10倍にする必要性は低いと言う意見が出ました。
また、レバレッジ率を引き下げる事で
・レバレッジ規制のない海外FX業者に顧客が流出する懸念
・レバレッジ25倍が主流の仮想通貨取引に顧客が流出する懸念
と言う問題が発生すると言う意見も出ました。
上記の意見を踏まえた結果、レバレッジ規制は今回は見送ると言う結論に達しました。
コメントを残す