FXのレバレッジを25倍から10倍に規制すると言う検討がなされているようです。
2018年5月4日現在では決定はされていませんが、恐らくレバレッジは規制される事になるでしょう。

 

レバレッジ規制とは

FXの取引を行うにあたり、証拠金の差し入れ率(レバレッジ率)の上限を法的に規制する事です。
現在は、日本でFXの取引を提供する業者は、レバレッジ率を最大25倍以内にする必要があります。

FXと言う取引が始まったころは、レバレッジの規制は存在せず、多くの業者でレバレッジ100倍とか200倍と言う取引が可能でした。
中にはレバレッジ400倍と言うハイレバレッジの取引が可能な業者も存在していました。
(海外のFX業者には、現在でも888倍と言うレバレッジ率を提供している業者があります)

FXで破産する人が出始めて社会問題になりかけたのもその頃です。
レバレッジ400倍と言うと、為替レートの0.25%になります。
1通貨単位が100円の通貨の場合、思惑と反対の方向に25銭動くと証拠金はゼロになります。
25銭と言えば、何もない時でも早ければ数分で動きます。

レバレッジ規制を行うきっかけになったのは、上記のようなFXで破産する人を防ごうと言う、投資家保護が目的でした。
何の知識や戦略もなく全財産を注込めば数分で全財産を失うので、確かに無茶な設定だと思います。
(そもそも、投資の知識もなく全財産を注込むと言う事が問題とも言えますが)

そして、2010年8月に最大レバレッジを50倍に規制
続いて、2011年8月に最大レバレッジを25倍に規制し、現在に至っています。

 

レバレッジ規制の目的

前回(レバレッジ25倍)の規制は、投資家の保護が目的だったと言われています。

投資家の保護と言うのは、全財産を失う事の防止と言うより、相場の大きな変動で、証拠金不足で追徴金が請求されることを防止するのが目的だったと思われます。
例えば、レバレッジ率が400倍だと、為替レートに0.25%以上の変動があった場合、差し入れている証拠金だけでは足りなくなります。
1通貨単位が100円の通貨の場合は、25銭以上の値動きで証拠金不足になります。
緩やかな価格変動であれば、証拠金が不足するタイミングで強制決済すれば、追徴金を請求する必要はありませんが、急激にレートが変動すると強制決済が間に合わなくなります。
雇用統計などの大きなイベントでは、為替レートが25銭以上飛ぶ事は珍しくありませんし、前日から翌日にかけた為替レートや、休日を跨いだ為替レートの変動は25銭以上動くことは日常茶飯事です。

極論を言えば、無茶なレバレッジで資金を失う投資家は自己責任と言えますが、投資家が追徴金を支払わない(支払えない)場合、FX業者の損害になります。
このような証拠金不足が頻繁に発生すると、FX業者の経営にも影響します。

従って、FX業者の保護と言う目的もあったと想定されます。

 

レバレッジ規制の効果

過去に実施したレバレッジ規制に効果はあったのでしょうか。

レバレッジ規制がなかった場合のケースが検証できないので断言はできませんが、レバレッジ率25倍の規制については一定の効果があったと考えられます。
例えば、2011年の東日本大震災の影響で急激な円高になりました。
その時、約1万人の投資家がロスカットが間に合わず、追徴金を請求されたと言われています。
当時はレバレッジ率50%の規制中でしたが、レバレッジ率25倍であれば追徴金の発生はもっと少なかったと言われています。

しかし、2015年1月15日に発生したスイスフランショックでは、最大20%の価格変動が起こったため、レバレッジ率25倍でも証拠金不足が発生し、1000人以上の投資家に対して、総額34億円の追徴金の請求が発生したと言われています。

以上の事を考えると、「レバレッジ規制を行うと一定の効果はあるが、証拠金以上の損失を防ぐには、レバレッジ率10倍では対応できない。」

と言う事になります。

 

レバレッジ規制は必要か

レバレッジ規制の目的が「投資家保護=証拠金以上の損失を出さない」と言うのであれば、スイスフランショックと同等以上のリスクを想定する必要があるでしょう。
そうなると、レバレッジ率は最大4倍を設定する必要があります。

しかし、FX以外の金融商品を見ると、レバレッジ率25倍と言う商品は他にも存在しています。
一日に20%以上価格変動する事もある、仮想通貨もレバレッジ25倍で取引が可能です。
株の信用取引は、レバレッジで言えば5倍ですが、価格の変動によっては保証金を上回る損失が頻繁に発生しています。

このような状況で、なぜFXだけが規制の対象になるのでしょうか。

投資家保護が目的なら、他のデリバティブも同様に規制すべきと考えます。
FX業者の保護が目的なら、レバレッジ率は業者に任せるべきですし、レバレッジ規制の前は、業者ごとにレバレッジ率を設定していました。
(レバレッジ率はFX業者によって異なっていました)

従って、私の意見は、
レバレッジ規制は、FX業界の発展を妨げる規制で、レバレッジ率は各社の資産状況に応じて設定すべき
となります。

 

レバレッジ規制への対応

レバレッジ規制が実施された場合、投資家として何らかの対応は可能なのでしょうか。

レバレッジ規制が国内FX業者全てに適用されるのであれば、「国内FX業者 または 海外FX業者」で選択する余地があります。
くりっく365を利用している業者はレバレッジ規制の対象外と言う噂もあります。

今回は、
・くりっく365以外の国内FX業者
・くりっく365を利用している国内FX業者
・海外FX業者
の3つのパターンで検証します。

 

くりっく365以外のFX業者

現在、レバレッジ率が10倍程度で取引を行っている方なら、無理に業者を変える必要はありません。
時折、レバレッジを上げる事は出来なくなりますが、多くの国内FX業者は小さなスプレッドで営業しているので、スプレッドの大きいくりっく365や、海外FXに乗り換える必要なありません。
目安としては、平均的にレバレッジ率が15倍以上の取引を行う人は、他の業者に乗り換える検討をしても良いでしょう。

 

くりっく365を利用しているFX業者

この選択肢は、くりっく365を利用している業者がレバレッジ規制の対象外だった場合の選択肢です。
くりっく365もレバレッジ規制の対象であれば、敢えてくりっく365に乗り換えるメリットはありません。
しかし、レバレッジ25倍で取引できるのなら、今まで国内FXの業者を使用している人なら、こちらをお勧めします。
国内FX業者は、入金や出金がスムーズにできますし、何より税制面で圧倒的に有利になります。

 

海外FX業者

くりっく365もレバレッジ規制の対象となった場合、海外FX業者に乗り換えるという選択肢が出てきます。
しかし海外FXは、一部の人にしかメリットはありません。
海外FX業者に乗り換えてメリットがある人は以下の人です。
・年間の利益が330万円以内の人
・手持ちの資金が少なく、常にレバレッジ率20倍以上で取引する必要がある人
・年間トータルで負けない人
上記のうち、一つでも当てはまらないのなら、海外FX業者を使うメリットはありません。

FXの利益が年間330万円を超えると、税制面で国内FXより不利になります。
海外FXでは、雑所得として計算され、累進課税が適用されるため、利益を出せば出すほど税制面で不利になります。
また、低レバレッジで取引できるなら、スプレッドの大きな海外FXに乗り換えるメリットはありません。

 

結論

国内FX業者に対して一律レバレッジ規制が入った場合の対応策としては、
海外FX業者と国内FX業者のハイブリッド方式で対応するのがお勧めになります。
方法は、
・海外FX業者で330万円の利益を出すまで取引を行う。
・海外FX業者で得た利益は国内FX業者に入金する。
・今までの運用資金に、海外FXで得た利益を合わせて国内FX業者で取引する

この方法が、一番パフォーマンスを落とさずに、資金運用ができます。