店頭FXと取引所FX
FXの取り扱いを行っている業者には、店頭FXと取引所FXの2種類の形態があります。
店頭FX
店頭FXとは、FX業者と投資家の間で相対取引を行うFX業者です。
外国為替の取引は、取引所と言う市場は存在しておらず、インターバンク市場とよばれる銀行間の取引で行われています。
個人の為替取引も同様に、銀行を相手に通貨の売買を行うことになり、FXの場合は、銀行の代わりにFX業者と投資家の間で通貨の売買を行います。
例えば投資家から、100万米ドルの買付注文が入ると、FX業者が保有している米ドルを投資家に売ることになります。
別の顧客から100万米ドルの売り注文が入ると、FX業者が投資家から米ドルを買い取ります。
FX業者と投資家の間だけで取引が成立する取引を、相対取引と呼んでいます。
多くのFX業者は、この店頭FXの形態をとっており、FX業者が提示する交換レートで、投資家と取引を行います。
店頭FXでは、為替レートの変動リスクをFX業者が被る必要があるので、ある程度の資金力が必要となります。
顧客の取引が売り又は買いのどちらか一方に偏ると、FX業者はより大きなリスクを抱えることになるので、顧客から入った注文と逆の注文をインターバンク市場に出しています。
これをカバー取引と呼んでいます。
取引所FX
2005年7月に上場した、くりっく365と言う商品に対して取引を仲介する業者です。
くりっく365とは、取引所に上場された通貨ペア(例えば、米ドル/円)に対して、マーケットメーカーと呼ばれる大手金融機関から価格の提供を受け、その中で顧客に一番有利なレートを自動的に顧客に提示するシステムです。
仲介するFX業者はくりっく365で提示されたレートをそのまま顧客に提示するため、為替レートの透明性が高い取引と言われています。
(くりっく365のレートが店頭FXより有利と言う訳ではありません)
また、FX業者は注文を仲介するだけなので、資金力が少なくても営業する事が可能です。
(ただし、くりっく365の参加要件として、資本金3億円以上、純資産20億円以上、自己資本比率200%以上と言う要件があります)
取引所FXは、スプレッドが大きくなる傾向にあります。
(取引所から提示される為替レートに、FX業者が受け取る手数料を含めたスプレッドが設定されているため)
くりっく365ラージと言う商品は、スプレッドが少なくなっていますが、取引を行う際に別途手数料が発生します。
店頭FXと取引所FXは、どちらが良いのか
店頭FXと取引所FXではどちらが良いのかですが、2018年4月時点では、店頭FXに若干の軍配が上がります。
その理由は以下の通りです。
為替レートの信頼性
取引所FXは、取引所が提示している為替レートをそのまま提示しているので、為替レートの透明性は非常に高いと言えます。
反面、店頭FXでは、FX業者が独自のレートを提示しているので、為替レートの透明性は若干劣るのは否めないのですが、不正な為替レートを提示するFX業者はほぼ存在しないと言えます。
10年前のFX黎明期では、ストップ狩りと言われる意図的な為替レートの改ざんを行っていた業者も存在していましたが、現在は改ざんを行い顧客が離れるリスクを考えると、ストップ狩りなどの悪意あるレートの改ざんを行う業者は存在しないと考えて差し支えありません。
また、指標発表時のスプレッド拡大は、店頭FXでも取引所FXでも同じように発生します。
従って、為替レートの信頼性は同等と言えます。
証拠金の保全
FX業者に預け入れている、証拠金の保全です。
気になるのは、FX業者が倒産した場合、証拠金が返却されるか否かですが、店頭FX・取引所FX業者いづれも、信託保全が徹底されています。
顧客から預かった証拠金は、そのまま信託銀行などが管理するため、FX業者が倒産した場合でも、証拠金は全額顧客に返却されます。
従って、証拠金の保全についても同等と言えます。
為替スプレッド・取引手数料
為替スプレッドについては、店頭FXの方が有利になります。
それは、FX業者の収入源の違いによるものです。
店頭FX業者:為替スプレッドが業者の収入となる
取引所FX業者:取次手数料が業者の収入となる
例えば、為替のスプレッドが1銭で、マーケットメーカーが提示している為替スプレッドも1銭だった場合、売りと買いの取引それぞれ100万通貨の取引が発生すると
店頭FX業者:1銭×100万=1万円の収入
取引所FX業者:(1銭-1銭)×100万=0円の収入
店頭FX業者は、売りと買いの注文をそれぞれ自社内で相殺するので、提示しているスプレッドがそのまま業者の収入になります。
しかし、取引所FX業者は受けた注文は全てマーケットメーカーに流すので、マーケットメーカーが提示しているスプレッドと同じであれば、利益が出なくなります。
従って、為替スプレッドや取引手数料は店頭FXの方が有利と言えます。
税制面
税率については、取引所FX・店頭FX共に20%の申告分離課税となります。
損失についても、最長で3年間繰り越すことが出来、他の商品先物取引と損益通算も可能です。
従って、税制面については同等と言えます。
その他
時期は未定ですが、FXのレバレッジに新たな規制が入るようです。
2018年4月現在の最大レバレッジは25倍ですが、今後は10倍に下げられるとのことです。
対象は店頭FXで、取引所FXは25倍のままと言われています。
これは、金融危機などで、為替相場が大きく変動した際に、相対取引を行っている業者が経営難に陥る事を防止するための措置のようですが、相対取引を行わない取引所FXについては規制する必要がないと言う考え方のようです。
従って、レバレッジについては取引所FXが有利になると思われますが、現在は同等の状態です。
以上を検討した結果、現在は店頭FX業者が有利と言う事になります。
今後、レバレッジ規制が実施された際には、状況が変わると思いますので、再度検証をしたいと思います。
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