株式投資の種類
投資と言う観点で株式を見ると、何種類かに分類され、分類ごとに投資戦略が変わってきます。
今回は、株式を分類し、分類ごとの投資戦略を考えていきましょう。
株式の分類
株式の分類は色々な考え方がありますが、証券大学では以下のように分類したいと思います。
・国内株式と外国株式
・大型株
・小型株
・低位株
・安定株
国内株式と外国株式
株式が上場している市場や、株式の発行企業の国籍によって投資の方法が異なってきます。
多くの日本の投資家は、日本の証券会社に口座を開設して取引を行うと思います。
国内の株式市場に上場している企業の株を売買する場合は、取引所の値動きを見ながら注文を出すことができるので、ほぼリアルタイムで株取引ができます。
しかし、海外の市場で取引を行う場合、海外の約定日と国内の約定日が異なる場合があります。
これは、日本と海外の取引所の時差や営業時間によるものです。
日本と海外で約定日が異なると何が起こるかと言うと、
東京 | ニューヨーク | 取引の状態 | ||
1/10 23:00 | APPLE株の買い注文 | 1/10 10:00 | APPLE株の買い注文が約定 | APPLE株の注文は約定したが、日本は夜間なので、約定処理は行えない |
1/11 9:00 | APPLE株の買い注文が約定 | 1/10 20:00 | 日本国内の営業時間に、APPLE株の約定処理が行われる。 |
上のように、現地と国内で約定処理のタイミングがずれてしまいます。
約定処理のタイミングがずれて、国内では約定処理が完了していない場合、買い付けた株の売買に制約が発生します。
(例えば、日計り取引ができないケースが発生する)
という事で、国内株式と外国株式の戦略は、
国内株式:短期投資(デイトレード・スキャルピング)~長期投資
外国株式:中期投資(スイングトレード)~長期投資
のように、投資スパンが異なる戦略になります。
また、外国株の投資は、新興国への投資する方法もあります。
アメリカ・ヨーロッパ等の先進国は経済的に成熟しているので、市場全体の大きな成長は難しくなります。
(と書いている少し前まで、アメリカの平均株価は史上最高値を更新していましたが)
しかし、新興国は市場全体が大きく伸びる可能性を持っているため、株価が上昇する可能性も高くなります。
BRICsと呼ばれる呼ばれる新興国に投資する場合、企業の成長と市場の成長が重なって、大きな利益を上げられる可能性があります。
大型株
大型株とは、時価総額が高く、流動性も大きな株式を言います。
一般的には、「TOPIX Core30」に登録されている銘柄を言います。
2017年10月31日現在では、以下の銘柄が登録されています。
・2914 日本たばこ産業
・3382 セブン&アイ・ホールディングス
・4063 信越化学工業
・4502 武田薬品工業
・4503 アステラス製薬
・6501 日立製作所
・6752 パナソニック
・6758 ソニー
・6861 キーエンス
・6902 デンソー
・6954 ファナック
・6981 村田製作所
・7201 日産自動車
・7203 トヨタ自動車
・7267 本田技研工業
・7751 キヤノン
・7974 任天堂
・8031 三井物産
・8058 三菱商事
・8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ
・8316 三井住友フィナンシャルグループ
・8411 みずほフィナンシャルグループ
・8766 東京海上ホールディングス
・8802 三菱地所
・9020 東日本旅客鉄道
・9022 東海旅客鉄道
・9432 日本電信電話
・9433 KDDI
・9437 NTTドコモ
・9984 ソフトバンクグループ
(銘柄コード順)
いづれも各業界を代表する大企業です。
大型株の特徴は、時価総額や流動性が非常に高いことから、一部の投資家の決済の影響を受けにくいという特徴があります。
株式の価格は、売り手と買い手のバランスで決定されています。
売り手や買い手の一方に大きな注文が発生すると、一気に価格が動くことになります。
値動きは、時価総額や流動性に影響されるので、大型株は価格が安定しやすいと言うことになります。
例えば、10万株の売買注文を出す場合、
A株:一日の出来高が1万株
B株:一日の出来高が1,000万株
ならB株の方が安定して取引が出来ることになります。
大型株の取引は、一日の値動きはゆっくりした動きになることが多いため、長期的な視点の投資に適している銘柄と言えるでしょう。
また、大型株は、業績の良い大企業なので、配当金を出し続けている企業も多数あります。
株式の値上がりだけではく、配当金で利益を得るという投資方法も有効な銘柄と言えます。
小型株
大型株とは逆の分類となる小型株は、長期取引だけでなく、短期取引も有効な銘柄です。
株価は長期的な値動き以外にも短期的な値動きが発生します。
小型株は、一部の思惑の売買に影響を受けやすいため、短期的にも大きく値上がりしたり、値下がりすることがあります。
短期的な投資を行いたい場合は、大型株よりも小型株の方が向いていると言えます。
また、小型株の中には若い企業も多く、今後大きく成長する可能性を秘めています。
大企業の場合は、一つのヒット商品が生まれても、企業全体の業績からみると割合は少ないですが、中小企業の場合は一つのヒット商品が会社の業績を大きく伸ばすこともあります。
短期間で株価が数倍から数十倍になる銘柄のほとんどが小型株です。
今はTOPIX Core30にも登録されているソフトバンク(9984)は、大きく飛躍した株式の一つです。
低位株
低位株とは、株価が非常に安い株に対する名称です。
株価が安いというのは、業績に比べて安いと言う意味ではなく、同業他社の平均株価に比べて株価が極端に安い株を言います。
銘柄にもよりますが、一般的には100円以下の株価の株を低位株と呼んでいます。
低位株のメリットは安い資金で取引ができることです。
例えば、株価が1,000円の銘柄を取引する場合、最低投資金額は「10万円+手数料」ですが、株価が100円の銘柄なら、「1万円+手数料」で取引ができます。
10万円を投資した場合、
株価が100円の銘柄:1000株購入
株価が1000円の銘柄:100株購入
になるので、株価が10円上がったら、
株価が100円の銘柄:10000円の利益
株価が1000円の銘柄:1000円の利益
と、10倍の差が発生します。
従って、低位株の特徴は
・少ない資金で
・大きな収益を得る
ことが可能な銘柄と言えます。
しかし、低位株には大きなデメリットがあります。
それは、発行企業の安定性です。
株価が安いという事は、その企業の株を持つメリットがないからです。
例えば、配当金が出ない株は配当金が出る株より安くなりますし、今後の業績の伸びが期待できる株は期待できない株に比べて高くなります。
低位株と言うのは、
・配当金が期待できない
・業績の伸びも期待できない
・倒産リスクが他の企業に比べて高い
を全て満たしている企業の株になります。
低位株は、ある日突然、価値がゼロになる可能性も秘めています。
仕手筋による株価操作の対象にされやすいのも低位株の特徴です。
これは、少ない資金で株を買い占める事ができるため、株価の操作がしやすくなるのです。
低位株は、ハイリスクハイリターンの銘柄と言えますね。
安定株
最後に安定株です。
安定株は特に定義はありませんが、株価の変動が少なく、定期的に高配当が出される企業の株式です。
安定株と言われる代表的な銘柄は、鉄道会社や製薬会社の銘柄です。
以下の条件を満たす業種や企業は株価が安定しやすく、株価は安定方向になります。
・景気不景気に影響されず、需要が発生する
・新規参入が難しい
・大きなシェアを持っている
・将来的に需要が続く
鉄道会社は線路を作る必要があるため、新規の参入には高いハードルが存在しています。
また、不景気でも利用者はあまり変わらず、将来的にも大きな減少は少な業種になります。
製薬会社も、景気不景気に関わらず風邪をひく人は薬を使いますし、今後も薬が必要な人は存在し続けるでしょう。
新規参入も様々な規制をクリアーする必要があるため、既存企業のシェアの変動は少ない業種です。
以前は安定株の代名詞に、電力会社がありましたが、電力自由化などで株価が変動しているため、現在は安定株とは言いにくい銘柄になっています。
安定株への投資は、売買益ではなく、定期的に発生する配当金収入を目的にする投資スタイルになります。
少々株価が下がっても、配当金を受け取ることで、銀行預金以上の収益を得ると言うのが安定株への投資になります。
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