インサイダー取引とは、上場企業や、その親会社・子会社の役職員や大株主などの会社関係者が、その会社の株価に大きな影響を与える情報を知り、その情報が公開される前に上場企業の株式の売買を行う事を言います。

インサイダー取引は金融商品取引法で禁止されている行為です。

 

会社関係者の定義

1.会社(親会社、子会社を含む)の役員、代理人、使用人その他の従業者(社員、パートタイマー、アルバイトなど)
2.会社の帳簿を閲覧できる株主など
3.会社にたいする法令に基づく権限を有するもの(監督官庁の職員など)
4.会社と契約を締結している者、もしくは締結の交渉をしている者(取引先や公認会計士、顧問弁護士など)
5.会社関係者でなくなってから1年未満の者

 

重要事実の定義

1.決定事実

増資や減資など会社の資本に関わる事、新製品や新技術など、会社の業績に関わること
会社合併や会社分割、解散など会社の存続にかかわる事など、会社の業務を執行する機関が決定したことを言います。

2.発生事実

災害に起因する損害や、主要株主の異動、訴訟、債務不履行など外部の要因により会社の株価に大きな影響を与える事象が発生した時。

3.決済情報

上場会社(または子会社)の売上、経常利益、純利益、配当などが直近の予想と大きく乖離する場合。

4.バスケット条項

その他、上場企業の運営、業務、財産にかかわる重要な事実で、投資判断に大きな影響を与えるもの

 

公表の定義

情報が公開されたと言う定義についても、明確な基準が存在しています。

1.上場会社またはその子会社の代表取締役またはその受任者が、2つ以上の報道機関に対して重要事実を発表し、12時間以上経過した時

2.重要事実が金融商品取引所のインターネットのサイト上に掲載された時

「1.」の基準は、「12時間ルール」と呼ばれており、プレス発表から12時間経過すれば、全国にニュースとして流れているであろうと言う考え方です。

 

罰則

インサイダー取引を行うと、刑罰の対象になります。
・5年以下の懲役、または500万円以下の罰金、またはこれらの併科
・得られた財産の没収
・法人の場合、行為者を罰するだけでなく、当該法人についても5億円以下の罰金が科せられます。

 

課徴金

インサイダー取引を行った場合、課徴金の請求も行われます。
課徴金は以下の計算で求められます。
売り取引の課徴金
(売付違反を行った株価 × 株数)-(重要事実が発表された後2週間の最安値 × 株数)
買い取引の課徴金
(買付違反を行った株価 × 株数)-(重要事実が発表された後2週間の最高値 × 株数)

 

まとめ

インサイダー取引は、会社や投資家に大きな損害を与えるため、非常に厳しい罰則が科せられます。
インサイダー取引は損益に関わらず適用されます。
もし、未発表の情報を知ってしまった場合、取引から遠ざかるようにしましょう。