2ちゃんねらーは最強のデバッカー
今回の話題もシステムリリースについてです。
ほとんどの証券会社はオンライントレードのシステムを持っていますが、オンライントレードと言うシステムはエンジニア泣かせのシステムなのです。
高難易度のオンライントレード開発
証券会社のシステム利用者は大きく分けて
・証券会社の社員
・一般の投資家
・お客様
になります。
システム開発の難易度の一つに、利用環境があります。
利用環境とは、
・利用者が使っている端末
・利用者が使っているネットワーク環境
です。
端末とは、WindowsやMACなどのOS、PCやスマホなどのハードウエアです。
ネットワーク環境とは、自宅・職場などのインターネット環境です。
利用者が証券会社の社員の場合は、利用環境を限定できますし、ネットワーク環境も自由に設定できますが、証券会社の社員が使う場合どんな端末で、どこからアクセスするかわからないので、いろいろなケースを想定しなければなりません。
「推奨環境」を規定してはいますが、
PCの場合
・OS:Windows7以上、またはOSX以上
・Internetexplorer11以上
と言ったある程度幅のある指定になります。
推奨環境に幅があると言うのが、開発の難易度を上げる大きな要素になるのです。
推奨環境以外は動かない場合は、問題ありません。
困るのが中途半端に動く時で、誤った注文が出来たりすると大変なことになります。
推奨環境であっても、Windows、MAC-OS、android、iOSなどの複数のOSに対応するだけでなく、
Internetexplorer、Chrome、Safari、thunderbirdのブラウザにも対応する必要があります。
ガラケーに対応し始めると大変なことになります。
余談ですが、ガラケーを使うお客様は
「年配の方が多い = 取引の金額が大きい = 手数料が多く取れる = お得意様」
と言う図式があるので、しばらくの間はガラケーも無視できません。
色々なOSやブラウザーの動作確認を経てシステムリリースになるのですが、大規模な開発だと動作確認のケース(パターン)が数万パターンとか数十万パターンになります。
もちろんひたすらテストを繰り返してリリースしますが、テストが漏れることもあります。
テストが漏れるとどうなるか。
もちろん本番リリースしたあとでバグとなって見つかります。
バグが見つかると即対応が必要になるのですが、システムの中に眠っているバグを見つけ出すのも大変な作業です。
(何せ、数万ケースのテストで気づかないバグだから本番リリース後も簡単に見つかるはずはない)
そこで頼りになるのが「2ちゃんねらー」です。
2ちゃんねるの掲示板には証券会社のスレッドがあります。
そこにはオンライントレードをしている2ちゃんねらーもたくさん見に来ています。
2ちゃんねらーの中には、とてつもない量の取引をしている人もいます。
もし、そんな人がシステムのバグをみつけたらどうなるか?
2ちゃんねるにバグの内容を書き込んでくれるのです!
やっと今回の話題の本質に入りました。
だから、システムリリースすると、2ちゃんねるを定期的に見に行くようになります。
そこに、「○○した時の動きがおかしくね?」などと書き込みがあると、こちらも同様のテストをします。
バグとわかれば、「即対応・即リリース」となります。
とあるプロ野球の監督が、「ライトスタンドは10人目の選手」と言っていましたが、
私たちにとっては「2ちゃんねらーはもう一人のデバッカー」と呼んでいます。
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