焦土作戦とはクラウンジュエルとも呼ばれる、敵対的TOBの対抗策として使われる手法の一つです。
敵対買収に遭った企業が、意識的に企業価値を落とすことで、買収者の買収意欲を削ぐ手法です。

企業買収と言うのは、対象の企業の価値があることが前提となります。
多くの場合、買収される側の事業内容を買い取る事を目的とされるため、買収される前に魅力ある事業や子会社を第三者に譲渡したり、非上場企業として分社化すれば買収者の買収意欲もなくなることになります。
(魅力ある事業がなくなれば、買収するメリットもなくなります)

価値ある事業を捨て去る(焼き去る)ことが、焼け野原に見えることから「焦土作戦」と呼んだり、王冠(企業)から宝石(価値ある事業)を外す行為から「クラウンジュエル」と呼ばれます。

焦土作戦は敵対的TOBの対策としては一定の効果はありますが、大きなリスクも存在します。

焦土作戦(クラウンジュエル)のリスク

上で説明した通り、敵対TOBを防ぐために企業価値を下げています。
企業価値を下げるという事は、「現在の株価に見合う企業価値がない」という事になります。
「投資する価値のない企業」になっているかもしれません。
そうした場合、既存の株主からの反発も大きくなり、株主訴訟に発展するケースも考えられます。
株主の立場から言えば「経営者が誰か」ではなく、「どれだけ価値のある企業か」が重要なので、敵対的TOBの対策に焦土作戦は良くない選択と言えますね。