新発債(しんぱつさい)と既発債(きはつさい)

新発債(しんぱつさい)とは、新規発行債券の略で、名前の通り、新規で発行される債券の事です。
新規発行される債券は、新聞や広告などで発表され、一定の募集期間を経て証券会社から販売されます。
新発債の購入は、発行者の決めた価格で購入します。
利付債の場合は発行額面で購入し、割引債は、利率分を割り引いた価格で購入が可能です。

既発債(きはつさい)とは、既発行債券の略で、新発債と異なって既に発行されている債券の事です。
既発債は、既に市場に流通している債券なので、募集と言う販売方法はなく、証券会社などを通じて購入します。
購入価格は、発行者が決めた価格ではなく市場で流通している価格で購入することになります。
債券市場の価格は、市場の金利や、需要と供給のバランスによって変動します。

 

経過利子の計算

既発債を購入する場合、買い手は売り手に経過利子(経過利息とも言います)を支払う必要があります。
経過利子(経過利息)とは、前回の利払い日(又は発行日)から、受渡日までに発生した利息です。
経過利子の計算式は、
額面当たりの利息 × (利払い日から受渡日までの日数) ÷ 365
で求められます。

例えば、毎年5,000円の利払いが発生する債券を、前回の利払い日から次回の利払い日の中間の日に売買する場合、債券の買い手は経過利子として、2,500円を売り手に支払います。
売り手は、前回利払い日から183日分の利息を売却時に受け取ることになり、買い手は債券の購入時に立て替えた利息を含めた金額を、次回の利払い日に受け取ることになります。

経過利子は、定期的に発生する利金(利払い)を公平に受け取るためのルールとして決められています。
経過利子の支払いを行わない場合、利払いの前営業日に取引が成立した場合、売り手は利金を受け取る事ができません。
また、買い手は1日しか債券を保有していないにも関わらず、利金を全額受け取る事が出来ます。
このような不公平を防止する方法として、経過利子を計算し、売買成立時に支払うルールが作られました。

株式の配当金も利払いに似ていますが、株式配当には経過利子(経過配当?)と言うルールはありません。
これは、配当金の権利発生日では、配当の有無も含めて配当金の金額がわからないため、経過利子の計算ができないためです。

しかし、株価は配当金受け取りの効力発生日まで少しずつ上がり続け、配当金受け取りの効力発生日を過ぎると、予想される配当金の金額だけ株価が下落します。(これを配当落ちと呼んでいます)
株式の売り手は、配当金が受け取れない代わりに、高値で売却する事ができ、株式の買い手は、高値で買い付ける代わりに配当金を受け取る事ができるので、結果的には売り手も買い手も不利にならないと言う事になります。