仮想通貨は投資として成り立たない6つの理由
巷でいろいろな話題を振りまいている仮想通貨について考えたいと思います。
まずは私の考えを言いますと、仮想通貨は投資対象ではないと考えます。
将来性がないとは考えていません。
恐らく、これからの未来は仮想通貨かそれに似た通貨が流通していくことは十分考えられますし、多くの人が通貨と認めることになれば価値は上がっていくと思います。
しかも、早ければ数年後には世界共通の通貨が誕生する可能性があると思います。
しかし!
あえて、今現在は投資の対象ではないと考えています。
大きな理由は以下になります。
1.誰も価値を保証していない
2.現物に対する価値がない
3.使える環境が整っていない
4.仮想通貨が市民権を得たとしても、他の通貨に置き換わるわけではない
5.各国の政府が今後も黙認するとは考えにくい
6.市場参加者が少ない
それでは、理由について一つずつ説明していきます。
目次
1.誰も価値を保証していない
仮想通貨と現在流通している通貨(円・ドル・ユーロなど)を比較すると、
・仮想通貨は中央管理されない通貨
・現在流通している通貨は、政府が管理している
と言う違いがあります。
円は日本政府が管理しており、間接的に価値を保証しています。
例えば、缶コーヒーは概ね130円で売られていますが、今日130円で買えた缶コーヒーが明日は200円になり、明後日は50円になったりすることはまずありえません。
値段が変動する理由は商品の価値が変動する為で、円と言う通貨の価値はほぼ変わりません。
これは、円を管理している政府が通貨の急激な変動を防ぐために、発行量などを調整しているからです。
通貨を発行している国の経済状態によって、通貨の変動は起こりますが、動きは非常に緩やかなので、
仮想通貨の場合はどうでしょう。
ビットコインを例に考えると、流通量は最大で2100万BTCと決まっています。
流通量が不足していても、過剰な場合でも2100万BTCと言う供給量は変わりません。
供給量が変わらないという事は、需要に大きく左右されます。
需要に大きく左右されるという事は、価格が大きく変動するという事で、価格変動が大きい通貨は実用性が低くなってきます。
自分の財布の中に入っているお金の価値が日々変動する通貨は使いにくいですね。
2.現物に対する価値がない
現物に対する価値というのは、その通貨を一定の物と交換すると言う保証です。
現在の通貨では物と交換する事を保証している通貨はありませんが、1971年7月までアメリカドル35ドルを金1オンスと交換すると言う保証がされていました。
円やユーロ、そして現在のアメリカドルには物との交換レートは設定されていませんが、各国の政府が様々な金融政策を行い、通貨の価値を安定させようとしています。
これは通貨を管理している機関があるから可能になります。
通貨とは少し異なりますが、Tポイントや楽天ポイントなどのポイントは、1ポイント1円で交換することを発行者が保証しているので、通貨としての性質を持っています。
各種ポイントが、いろいろな分野で使用できるのは、ポイントを発行している企業の信頼と使用できる店舗の信頼が根本に存在しています。
つまり、信用できる発行者がポイントの価値を保証しているので、安心して利用できます。
仮想通貨を見ると、交換レートと言うのは設定されていないため、他の通貨と確実に交換する事や、金などとの交換も交換時のレートに左右されることになります。
仮想通貨の価値を決めているのは、仮想通貨を利用する人々です。
多くの人が価値があると考えると価値は上がりますし、価値がないと考えると価値は下がっていきます。
3.使える環境が整っていない
通貨というのは多くの場所で使用できることが重要になります。
円は日本国内であればほぼ全ての場所で使用することができます。
アメリカドルになるとさらに多くの場所で使用することができます。
通貨ではありませんが、他のTポイントや楽天ポイントも使用できる場所がどんどん増えています。
通貨として利用されるためには、利用できる環境が必須になります。
仮想通貨も少しずつ利用できる店舗が増えてきていますが、まだまだ一部の店舗しか使えない状態です。
通貨が普及するには多くの人が日常的に利用する環境が必要になります。
4.仮想通貨が市民権を得たとしても、他の通貨に置き換わるわけではない
仮想通貨が市民権を得た場合、他の通貨がどうなるかを考えていきましょう。
世の中の取引の中で仮想通貨が占める割合が増えた場合でも、現在流通している通貨がなくなることはありません。
日本国内の場合は、円と言う通貨が存在し、利用する環境が整っており、日本政府が円の安全性を保証しています。
どのような環境(小さな商店からインターネット決済まで)でも使用できる通貨なので、円が使われなくなることは考えにくいです。
日本政府が円を回収する可能性もかなり低いでしょう。
となると、仮想通貨が円に代わる決済手段になる可能性はとても低いと考えられます。
これから仮想通貨が普及した場合でも、
「仮想通貨も決済手段の一つとして利用可能」
と言う使い方になると考えられます。
5.各国の政府が今後も黙認するとは考えにくい
私としてはこの問題が一番大きな問題と考えています。
仮想通貨の流通量が増えると、自国の通貨の流通を脅かす存在になります。
国内で流通する通貨が増えると、自国の通貨の重要度が薄れていきます。
そうなると、金融政策が機能しなくなります。
金融政策は国の経済の要なので、仮想通貨の流通を制限しなければなりません。
従って、国がコントロールできない通貨の存在は、いつかは規制が入ると考えています。
6.市場参加者が少ない
現在の仮想通貨は、非常に少ない投資家が大きな比率の仮想通貨を保有しています。
ビットコインは全体の20%を100人の投資家が保有していると言われています。
(金融商品を大量に保有している投資家を、ビッグプレイヤーと呼んでいます)
これは対象保有者が市場操作が出来るという事になります。
先日、ビットコインの先物取引が始まったと言うニュースが流れましたが、ビッグプレイヤーから見れば、ビットコインを値上がりさせるのも値下がりさせるのも思いのままです。
株取引で言う、仕手筋のような存在が居るのも仮想通貨の取引を難しくする要因と考えています。
投資と投機
以上の事から仮想通貨が既存通貨は不確定要素がに置き換わる可能性は今の状態では低いと考えられます。
このまま順調に普及すれば、今後も値上がりが期待できますが、ゼロになるリスクも存在しています。
将来価値が上がると想定されるものを購入する事を投資と考えると、リスクが高すぎると考えます。
投機と言う観点で考えると、今後も大きな値動きが期待できる商品なので、対象となると思います。
しかし、ビッグプレイヤーの思惑で値動きが発生する商品なので、仕手株を取引するのと似たリスクがあると考えています。
私の取引手法で考えると、値段の上下が大きすぎるため、損切・利確のポイントがわからない商品です。
過去のチャートを検証しても、今のところ有効な取引ルールが作れないため、投機対象としても外れています。
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