仮想通貨はインフレに強い通貨なのか
仮想通貨はインフレに強い通貨だと言われています。
果たして本当に仮想通貨はインフレに強い通貨なのでしようか?と言うことを今回は検証していきたいと思います。
インフレの定義
インフレとは、物の価値(つまり物価)が全体的に上がることです。
物価は需要と供給のバランスで決まります。
一般的なインフレは、需要が供給を上回ることで、物価が上昇します。
つまり、経済成長や人口の増加で消費が増えていき、物が不足すると言う事象です。
これは、健全に経済発展している国では好ましいことで、物価の上昇は、給与の増加や雇用の促進と言う形で社会に還元されます。
需要が増えない場合でも、インフレが発生する事があります。
例えば、天候不順などが原因で農作物の供給が不足すると、農作物の価格が上昇します。
それに伴い、農作物以外の製品も値上がり物価が全体的に値上がりする事があります。
しかし、この値上がりは一時的な値上がりになることが多く、影響範囲も少ない傾向にありますが、発展途上国では大きなインフレの前兆になることもあります。
通貨の供給が原因でインフレが発生する事もあります。
これは、物の需要や供給に変化はなくても、通貨の増刷などが原因で、通貨価値が下がり、結果的に物価が上昇する現象です。
国が債券を発行し、中央銀行が引き受ける事で、通貨の流通量が増えてインフレが発生するという仕組みです。
仮想通貨が要因となるインフレ
インフレの定義で挙げたインフレの要因に対して、仮想通貨が関係しそうな要因があるのか検証してみましょう。
まずは、需要の増加に伴うインフレですが、経済発展や人口増加が原因となるので、仮想通貨は直接的には影響しないと考えてよいでしょう。
天候不良などの供給不足についても同様ですね。
通貨の供給についてはどうでしょうか。
これは仮想通貨の供給が増えるとインフレの要因になる可能性があります。
代表的な仮想通貨のビットコインを参考に考えてみると、2018年4月時点のビットコインの流通量は、約1700万BTCです。
ビットコインは、マイニングと言われる行為の報酬として増加していくのですが、最大供給量は2100万BTCと決められています。
供給量の上限に達すると、マイニングを行っても報酬は発生しなくなります。
ビットコインの供給量はあと25%しか増えないと言う事になります。
ビットコインが供給過多になって、インフレが発生する事はない
と言う事になります。
しかし!
安心するのはまだ早いです!
ビットコインが供給過多になることはありませんが、仮想通貨としてはどうでしょうか。
仮想通貨=ビットコイン
なら大丈夫ですが、仮想通貨はビットコイン以外にも多くの種類の通貨が発行されていますし、今後も新しい通貨が発行されます。
多くの仮想通貨は、通貨毎に供給量の上限を決めていますが、仮想通貨の通貨数に上限はありません。
という事は、仮想通貨は無限に増えていく可能性を秘めた通貨と言う事になります。
従って、仮想通貨全体の供給量が増える事で、仮想通貨が原因となるインフレが発生する可能性がある。
と言う事になります。
仮想通貨のボラティリティリスク
仮想通貨にもインフレリスクが存在するという事がわかりましたが、仮想通貨にはもう一つ大きなリスクが存在します。
それは、ボラティリティに関するリスクです。
ビットコインを例に説明すると、
ビットコインは、2017年1月から2017年12月の間に、価格は10倍以上に値上がりしました。
その後、2018年2月に3分の1まで値下がりしました。
2017年から2018年にかけて日本の物価はそんなに動いたのでしょうか?
日本国内の物価を見ると、2017年の日本のインフレ率は0.47%だそうです。
2018年(4月時点)のインフレ率は1.12%です。
という事は、ビットコインの値動きは、ビットコイン単独の価値が変化したと言う事になります。
なぜビットコインの価値が大きく変動したのでしょうか。
理由は、仮想通貨の特徴である、「非中央集権型」と言う発行方法です。
円などの法定通貨は「中央集権型」と呼ばれ、中央銀行が発行し、中央銀行と国が価値を保証しており、価値が大幅に変動しないよう、様々な管理を行っています。
そのおかげで、安心して利用・保管する事ができます。
例えば、日本円が他国の通貨と比較して、極端に値上がりしたり値下がりすると、日銀が為替介入などを行い、価格を戻そうとしますし、国内の景気を見ながら公定歩合などを調整し、インフレ率を調整しています。
一方、仮想通貨は通貨を管理する機関が存在しないため、仮想通貨の価値が変動しても価格は補正されません。
特に現在は、仮想通貨の流通は投機的な売買が大半を占めているため、価格変動が起こりやすい環境と言えます。
まとめ
以上の事をまとめると、以下のような結論になります。
仮想通貨の通貨単体で考えると、インフレは発生しない。
仮想通貨全体で考えると、通貨の乱立からインフレを引き起こす可能性がある。
仮想通貨はインフレリスクより、通貨そのものの価値の暴落のリスクがある。
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