証券会社のシステム開発の仕事をしていると良く聞かれる事があります

自分の口座の残高を増やしたり、お金を入金せずに株取引したり出来ないの?

簡単に言えば、不正なプログラムを仕込んでお金を儲ける事はできるのか?と言う事です。

結論から言うと、出来ません。

必ずバレます。

金融機関のシステムは、お金や物(株、債券、投資信託など)の動きを完全に把握出来る仕組みになっています。

どのように把握しているかと言うと
仮に私の口座の残高を書き換えたとします。
(いわゆるデータ改ざんですね)
そうすると、支店残高の合計も、証券会社全体の残高も増える事になります。
仕組みは証券会社によって異なると思いますが、
支店残高合計の前日との差を求めています。
そして、残高の差と取引金額の合計が一致しているかをチェックします。
このチェックの目的は、「システムのバグや職員の入力ミス」を発見するためで、証券会社に限らず全ての金融機関が実施しています。

残高が変わると言うことは何らかの取引が発生しているはずですが、残高を書き換えただけでは取引が発生していないのでバレます。
(「前日との残高の差 ≠ 入金・出金の合計」になるのでアラームが発生する)

それじゃあ株を売った事にして取引を作ればバレない?

確かに持っている株を売れば辻褄は合いますが、株を持ってなければ売れません。
誰かの口座からお金や株を移したら辻褄は合いますが、相手の口座にも取引としてお金や株が引き出された事が記録されるため、すぐにバレます。

昔、お客様から預かったお金を一旦自分の口座に入金して、翌日にお客様の口座に振り込んでいたと言うニュースを見たことがありますが、現在の超低金利ではハイリスク・ローリターンでほとんどメリットはありません。

例えば10億円を1日自分の口座に入金したとして、年利が0.1%なら1日の利息は
10億円 × 0.001 ÷ 365 ≒ 2740円
おおよそ3000円を稼ぐ代わりに数百万~数千万の年収を失うリスクを抱えるわけです。

他にも色々な方法は考えられますが、全ての辻褄を合わせようとすると自社だけでなく日本中の人が協力しなければなりません。

悪いことはできません。」と言う話しでした。