システムの基本デザインが決まると、マスター機能とトランザクション機能の設計に入ります。

まずはマスター管理機能を考えていきます。

 

マスター管理機能

マスター管理機能とは、システムの基本情報を管理する機能です。

何をマスターと定義するかは証券会社によって微妙に異なると思いますが、大きな考え方としては、証券会社の様々な業務や商品で共通利用する情報をマスターとして定義します。

証券会社で共通利用する情報は、主に以下の情報です。
・顧客(個人・法人)
・取引先(同業者や金融機関)

・従業員の情報
・会社の情報
・通貨情報

顧客情報は色々な取引で共通的に必要な情報になります。
一人の顧客が、株や債券の売買を行うので、取引単位に顧客の情報を保持させると、トランザクションの項目数が膨れ上がります。
また、顧客の住所など顧客情報が変更された場合、過去の取引の情報まで更新することになります。
取引量や顧客数が増えるとシステムの負荷が大きくなるので、各取引で共通の情報は一元管理し、必要な時に参照する仕組みにする方が効率的です。

取引先や従業員の情報、会社の情報についても同様の考え方です。

 

下に、マスター設計の概念図を作ってみました。(クリックすると大きくなります)

基本情報が決まれば、情報単位に機能を分割します。
機能ごとに、管理する項目を洗い出していきます。
項目を洗い出す際の注意点は、
・キーとなる項目の設定
・項目の冗長化を防ぐ
です。

上の図では、「口座番号、通貨コード、扱者コード、営業店コード、金融機関コード」がキーになります。
マスターのキー項目は、マスター間の紐付けや、トランザクションとマスターの紐付けに使用する重要項目なので、キー項目の設定は大変重要になります。

 

マスター情報の更新

マスター情報が決まると、マスターの作成・更新・削除の機能が必要になります。
顧客情報を例にとると、
顧客が口座を開設したタイミングでデータが登録されます。
・顧客が色々な取引を行うと、顧客情報のデータが参照されます。
・引っ越しや結婚、契約の変更などで顧客情報のデータが更新されます。
・口座の解約を行うと、データが削除されます。
顧客情報を常に最新化するには、顧客情報を更新するトランザクションが必要になります。