金融機関のストレステストとは、市場で不測の事態が発生した時、金融機関の損失の程度や回避策をシュミレーションする、リスクヘッジのためのテストを言います。

ブラックマンデーやリーマンショックなどの金融危機を教訓に、通常では発生しえない金融危機が発生した場合でも、危機を回避する事ができるよう予め対策を行う事が目的です。

 

ストレステストの方法

ストレステストは一般的に
・ストレスとなる事象の洗い出し
・ストレス発生のシナリオ作成
・経営などへのインパクトの検証
と言う順で実施されます。

ストレスとなる事象は、リーマンショックなどの過去の金融危機を参考に、現在の市場動向や、金融機関のポートフォリオを考慮しながら事象の洗い出しを行います。

ストレス事象の洗い出しが終わると、その事象がどのように発生するかのシナリオを作成します。
シナリオを作成するときは、ストレス事象が連鎖的に発生する事を想定し、過去を上回る金融危機を想定します。

シナリオが作成されると、金融危機が発生した際に、損失の算出や経営に与える影響を検証します。
検証の結果、問題が発生する個所について、ポートフォリオなどの見直しを行います。

 

バーゼルⅢ 流動性規制

ストレステストの基準として、流動性規制(りゅうどうせいきせい)があります。

流動性規制とは、国際業務を行う銀行の保有自己資本比率等を定めたバーゼルIIIで義務化が決まった短期の安定的資金確保に関する規制の一つです。
金融危機などで30日間継続するストレス下においても流出する資金額以上に流動資産を調達し、銀行が業務を継続できることを目的として導入された基準です。

流動性規制は、流動性カバレッジ比率(LCR)で求められます。
流動性カバレッジ比率=高品質の流動資産÷30日の純資金流出額

金融危機が発生した際、30日間資金の流失が続いた場合に自己資産でカバーできる割合を求めた比率が流動性カバレッジ比率です。

流動性カバレッジ比率が100%以上となるよう2019年の完全実施に向けて流動資産の保有割合の引き上げが段階的に進められています。