みなさんこんばんは。
いきなりですが、みなさんはお金は好きですか?
「好き!」と言う人もいれば、「嫌い!」と言う人もいます。
(嫌いと言う人は少数派ですが。。。)
ただの紙切れと言う人もいるでしょうし、ステータスと考える人、物を手に入れるための道具と考える人、プラスのイメージからマイナスのイメージまで、これほど多様なイメージを持つ物は少ないとおもいます。
また、現金だけでなく電子マネーや仮想通貨など、色々な形態のお金が流通しています。
今回はお金について考える時間にしようと思います。

お金ってなあに?

またまた質問です。
お金って何ですか?

この答えも色々出てきそうですね。
・ただの紙切れや金属の塊
・欲しいもののほとんどを手に入れる道具
・生活を豊かにする道具
・人を惑わす道具
他にも色々な答えがありますが、全て当たっています。
同じ1万円札でも見る人によって受け取り方は千差万別です。
しかし、上の答えはお金の一部分でしかありません。

それではお金とは何なのでしょうか?
お金が存在しなかった時代から、今までの動きを見ていくと答えが見えてくるかもしれません。
試しにお金はどのように生まれて発展してきたのかを考えていきましょう。

お金の歴史

それでは人類が誕生して、まだ自給自足の生活を送っていた時代を想像してみましょう。

自給自足の時代には当然お金と言うものは存在していません。
必要な物は全て自分で確保するので、お金と言うもの自体が必要ない時代です。
狩りをして動物の肉を食べたり、

木の実や草を食べたりして生活します。

食べるものがなくなると違う地域に移動すると言った生活スタイルで、移動を繰り返す生活なので家も必要なく、洞穴や木の陰で雨風をしのぐ生活だったと思われます。
集団の単位も大きくて家族単位で、他との集団との交流も情報交換程度の交流だったと思われます。
現在でも多くの野生動物がこの生活様式で暮らしています。
人間以外の大多数の動物はお金はおろか、物々交換もしていません。
人間も大昔は野生動物と同じような生活スタイルでした。

物々交換の発明

自給自足を続けていると、不足している物や余る物が出てきます。
大型の動物を狩って、食べきれないほどの肉が手に入るかも知れません。
沢山の実が生った木を見つけて木の実を大量に手に入れるかもしれません。

「木の実はあるけど肉が不足している」
「肉はあるけど木の実が食べたい」
など不足している物を補いたいケースが発生します。
そんな時、木の実が不足している人と肉が不足している人が出合います。
余っている物と不足している物を交換したら、お互いにメリットがあると言う事に気づきます。
「物々交換」と言う行為を発明した瞬間です。


物々交換が始まると生活様式がだんだんと変わってきます。
動物を捕まえるのが上手い人、木の実を採ったり美味しい草を見分けるのが上手い人など、自分の得意分野の収穫を優先し、苦手な分野の食料は誰かと交換して手に入れるようになってきます。
最初の交換は食料だけでしたが、物々交換が発展し始めると食べ物以外の交換も始まるようになります。
狩りをする時に役に立つ武器や、硬い木の実を割ったり摺り潰したりする道具も交換の対象になります。


acworksさんによるイラストACからのイラスト

さらに物々交換が進むと、食べ物や道具だけでなく情報も交換対象に入ってきます。
動物の居る場所や狩りの方法、植物が密生している場所や美味しい植物の情報など、形のないものも交換されるようになってきました。
物々交換が盛んになってくると、集団の規模も大きくなっていきます。
個人や家族と言う集団から、複数の家族が集まって村や街が出来てきます。
人が増えてくると分業が進み、色々な専門家が出てきます。
しかし、物々交換の発展とともに問題も発生してきます。

持ち運びの問題

牛の肉を大量に持っている人が木の実と交換したい場合、交換相手が居る場所まで肉を持って行く必要があります。
近くに交換したい相手が居る場合は問題ありませんが、遠方まで持って行くのは大変な作業になります。

保存の問題

腐りやすく保存が効かない物は、短期間で交換する必要があります。
木の実などの比較的長期間の保存ができる物でも、年単位の保存が難しい事が多いです。

価値の問題

木の実は長期間の保存ができますが、季節によって価値が変わる可能性があります。
木の実が取れにくい冬では、肉100gと木の実100gを交換できていたのに、夏になると肉100gの肉を交換するには木の実200gを渡さなければならないかも知れません。
価格が安定しないと、物々交換に支障が出てきます。

貨幣の発明

価格の安定と言う問題はなかなか解決しなかったと思われます。
そんな中でも物々交換の取引量は時の経過とともに増えていき、交換される商品の種類も増えていきます。
最初は生活必需品の交換から始まった取引も、きれいな丈夫な石や綺麗な石も対象になり始めます。

綺麗な石や珍しい貝殻などは、大量に出回る事もなく、一定の価値を持つようになってきます。

石や貝殻は長期間の保存にも耐えるし持ち運びもしやすくなるので、物々交換でも重宝されるようになってきます。
石の場合は大きさによって価値が変わりますが、貝殻は大きさも一定なので、同じ種類の貝殻なら肉100gは貝殻1個と言うようにわかりやすい基準で取引が出来るようになります。
貝殻は取引の中心になり始め、肉や野菜が余ったら貝殻と交換し、必要に応じて肉や野菜と交換する人 が増えてきました。
そうです。貝殻が現在の貨幣のような存在になってきたのです。
貝殻の中でも特に珍しい貝殻は高い価値を持つようになり、貝殻を中心とした取引が定着し、ますます取引が活発になっていきます。
貝殻だけでなく、石や金属を加工する技術が出来ると、一定の大きさや重さの石や金属が取引に用いられるようになります。
貨幣の誕生です。

金や銀の貨幣は
・錆びない
・加工がしやすい
・希少性がある
という事で、貨幣としては大変重宝されるようになります。
貨幣の発明により商品の取引は爆発的に増えていきました。
貨幣の流通が盛んになるにつれて、交換できる範囲も広がっていきます。
最初のうちは貨幣との交換を渋る人も多くいましたが、貨幣の認知度が高まるにつれ、色々な人に使えるようになり、貨幣があれば必要な物のほとんどが手に入るようになります。
貨幣の流通が増えるとともに、貨幣を保存する人が増えてきます。
手に入れた肉、果物、木の実はそのまま持っているより貨幣に換えた方が保管や持ち運びに便利だからです。

紙幣の発明

貨幣を使用した流通が進んでいくと、またもや問題に直面します。
街がいくつも作られ、街と街の取引も活発になっていき、現在の国家のような集団が出来上がります。
個人間の取引なら使われる貨幣もそれほど多くありませんが、街と街の間の取引は大きな取引に発展する事があります。
貨幣は持ち運びや保管に便利と言う利点があるのですが、持ち運べる量には限度があります。
大量に商品を買い付ける場合や、高額商品を買う場合、持ち運びが便利といえども対象の貨幣を持ち運ぶのは限界があります。
数人で手分けして運ぶと言う方法もありますが、手軽に持ち運べない事が増えてきます。
そんな中で、貨幣と交換できる「引換券」をつくることを思いついた人が出てきました。
「金貨1000枚と交換する」と言う「引換券」です。

この引換券を持ってくればいつでも金貨1000枚と交換すると言う約束をします。
金貨1000枚と確実に交換できる引換券は、金貨1000枚と同じ価値を持つことになります。
という事は、この引換券を10枚持っていれば、金貨10000枚分の買い物ができる訳ですし、受け取った方は必要な時に金貨と交換する事ができます。
また、受け取った引換券を他の買い物に使うことも可能です。
現在流通しているお札の原型のようなものです。

引換券はだんだんと流通量が増えてきますが、同時に問題も発生します。
引換券を受け取ったけど、
・貨幣と交換できない
・引換券が偽物だった
・引換券を発行した人がどこかに行ってしまった
いわゆる詐欺です。

こうなると安心して引換券を使うことが出来なくなります。
この問題は、貨幣が流通している集団(国のような集団)で、大量に貨幣を持っている人が代表して引換券を発行することで解決する事が出来ました。
代表者が発行した貨幣の引換券は、
・引換券を発行者の所に持って行けばいつでも貨幣(金貨など)に交換できる
・偽物を作られないように、複雑なデザインにする
・発行者は大きな組織なので逃げたりしない
と言う信用があるため、誰もが安心して使うことができます。
これが紙幣と言う形で現在でも流通しているお金です。

ちなみに、金や銀などに交換できる紙幣は「兌換紙幣(だかんしへい)」と呼ばれており、日本でも明治半ばから昭和初期まで日本銀行で発行されている紙幣は兌換紙幣として扱われていましたが、1931年の金兌換廃止により事実上兌換紙幣ではなくなりました。

お金とはなにか

ここまで書いたことをまとめると、
・肉や木の実など価値が変化する資産に対して、価値を固定する
・持ち運びが便利で保管場所が用意
・保管場所を取らないので大量に保管が可能
・紙幣の場合は国家が価値を保証している。
と言う特徴をもっています。

価値を固定した資産と言う事は、色々な資産の中の一つと言う事が言えます。
人は色々な資産を持っています。
・食料などの日々消費していく資産
・土地や会社などの価値が変動する資産
・知識や技術などの見えない資産
上記の色々な資産を他の資産に交換するための道具がお金だと思います。

「お金とは何か?」の答えは一つではありませんが、資産の交換道具と言う答えも間違っていないと思います。
お金をたくさん持つことも大切ですが、お金以外の資産をたくさん持てばお金も自然に増えていくのではないかと私は考えています。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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